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「しあわせな家」 (Click!) のつづきです。
昨今、中古住宅の流通を活発化させようとする動きの中で、よく聞かれるのは、 本来は、家族の成長に合わせてステージを変えていくのが自然なのだということ。 海外でそれが当たり前に行われているのは、中古住宅の価値が下がらないからであるということ。 だから日本も、価値の下がらない住宅をつくり流通させていくしくみをつくらねばならないのだ、と。 そして、今まで日本の住宅が2~30年くらいのサイクルで建替えられていたのは、 そのくらいしか持たない家をつくってきたからではなく、 そのサイクルで建替えられるだけの経済力を日本人が持っていたからだ、 という話にも、大きくうなずかされたものです。 持ち家、賃貸関係なく、もっと気軽に住み替えが出来るようになったら、 「家」という概念も変わっていくのだろうな、と思います。 ただ、住み替えを前提にする事で、家が規格化されていくのにも少し抵抗があり、 そうじゃない答えを、設計者として、そして一生活者として、いつも探しています。 今回オーナーチェンジの時を迎えたこの家の元の住まい手、Uさん。 14年の間に、もろもろの環境が大きく変化し、 まさに「ステージを変えるべきなのかな?」という時期を迎えていました。 でも、この家に対する愛着も大きく、どうするべきか悩んだ末に、運に任せてみようと決めました。 自分たちがつけるこの家の価値を理解してくれて、その上で本当に気に入ってくれて、 このまま大事に住み続けてくれる人がいるならば、その方にお譲りします。 諸条件に妥協してまで手放す気はありません。 ネット、店頭含め、「中古住宅」として情報を開示することもしないでください。という、 不動産屋さんからしたら「結局、売る気ないんでしょ?」と言われてしまいそうな条件で(笑)、 打診をしてみたところ、そこからわずか1週間で、内見・申込みに至ってしまったのです。 まさかの展開に慌てたUさん。 申込みが入った翌日に、わざわざ会社を休んで私のところに相談に来てくれました。 どうしたらいいんでしょう・・・と(笑)。 申込みしてくれたのがとっても素敵なご夫婦だったそうで、 この人たちが住んでくれるなら、この家も幸せなんじゃないかと思えるんだ、と。 あの家があなた達の家でなくなる事は、私にとってもとても寂しい事だけど、 今、決心がつかずに見送ったとして、でもいずれは別の場所に居を構える事になるのなら、 この(奇跡のような!)流れに乗ってしまっていいんじゃないですか?とお答えし、 その後、家族会議の末に売却の決心をつけられました。 そのままあの家がオーナーチェンジしたという事実だけが残されていたら、 今の私がどんな気持ちでいるのかは分かりませんが、 Uさんが契約の意思を不動産屋さんに伝えた数日後に、今度は新たな住まい手さんが、 私を探し出して下さって、リフォームの事など相談したいと連絡をくれたのです。 正直、お問い合わせいただいたことに驚きましたが、 そこからは、自分の気持ちに向き合う余裕もなく、入居日に向けて猛進する日々。 ただ、Uさんがおっしゃっていた通り、本当に素敵なご夫婦で、 あの家の主旨、私やUさんの思いなどを正確に読み取って下さっていることがうれしく、 「超」が付くほどの注文住宅で、Uさんの希望を詰め込んだ個性的な家にもかかわらず、 そのままの姿で住み継いでもらえることの不思議さとおもしろさをかみしめる毎日でした。 語彙が足らずうまく表現できないのですが、「家ってすごいもんだなぁ・・・」という感じ。 どこか客観的に、私自身もこの流れにまみれていたのですが、 ある方にこの話をした時に「それは設計者冥利に尽きる話じゃないですか!」と言われ、 そこで初めて「あ、そうかも」と気づかされました。 Uさんが売却を決めるまでの過程も含め、 おそらく今私は、ものすごい経験をさせてもらっているんだろうな、と。 そして、その家はいよいよUさんから新しい住まい手さんへ、引渡しの日を迎えます。 東京の桜が開花し始めた頃の事。 とても印象深い1日となりました。 つづきます。
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