円い箱 〜アトリエ朋便り 
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防火指定のある地域の木造3階建ては、準耐火建築物にしなければならず、階段の仕上げにも制約がいろいろと出てきます。
いろいろと言っても、基本的には、階段の裏側を強化石膏ボードで被覆すれば良いだけの話なのですが、3階建てって、大体が狭小地で、隣家が迫って建てられているので、上からの光を階段室を通して階下に落としたくなるんですよね。
階段は、明るく開放的なのが好みです♪
でも、木造3階建てでストリップ階段にする為には、鉄骨階段にするか、厚さ60mm以上の段板を使用するしかなく、毎度、予算とにらめっこしながら「うーん・・・」と悩むのであります。
上の写真は、10年ほど前に設計した3階建て住宅の階段室。ダイナミックに、60mmの檜板で作ったストリップ階段です。この家は、スキップフロアのコートハウス(建物がコの字形で中庭がある家)で、中庭に面したところにこの階段室があります。ほぼ「階段の家」と言っていいくらい(笑)、存在感のある階段室になりました。

余談ですが、この当時、私の設計した家を見た人には、ほぼ毎回、「女の人の設計だとは思わなかった。これは男の設計だ!」って言われてたんですよね~。
家づくりが、今みたいにいろんな制約もなく、大らかだった時代。
純粋に設計を楽しめてたよな~って、いつも懐かしく思い出します。
「大胆、かつ繊細」をテーマに、思い切ったこともいろいろやらせてもらってたのですが、最近は、悩んで悩んでこねくり回して、ちっちゃくまとまってる気がします(笑)。いかんいかん!突き抜けなきゃ!!

こちらは、わりとよく採用している方法。回り階段だけ大工さんに作ってもらって、鉄砲部分のみ鉄骨階段を使用しています。納まり的にもコスト的にも、一番いい妥協策(いや、それでもコストは掛かってるのだが(笑))だと思っています。
ちなみに、階段との間仕切り(左側)には、ちょこっとコートやバッグなんかを掛けておくためのパーティションを木で作っています。構造材は全て石膏ボードで被覆しなければいけない木造3階建てへの、せめてもの抵抗(笑)。構造体から分離して、柱を表しにして作りました。
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現在設計中の3階建ても、やはり2~3階はストリップにしたいと思っているのですが、上り始めも3段回りなので、なかなか悩ましいのです。スペース的にもカッツカツなので(笑)、階段の納まりには最後まで悩みそう・・・。どうしよっかなー。大工さんと監督さんに頑張ってもらうしかないかなー。
もうしばらく現実逃避して、他の部分を詰めてから考えましょう・・・(笑)。
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ついでにもう一枚。こちらは2階建ての住宅ですが、最初の3段を30mmの集成材を重ねて作ったストリップ階段です。ちょっと分かりづらいかもしれませんが、1段目が、玄関の上り框と交差していて、靴を履くときのベンチも兼ねているのです。かっちょいいんですよ~。

「住みやすい家」を突き詰めていけば、やはり平屋が一番良いのでしょうが、東京で仕事をしている以上、それはなかなか難しいのが現実。だったら、せめて、上り下りが苦痛にならないような階段を設えておきたいなと思います。ちょっとした仕掛けが、生活に潤いを持たせてくれるなら、その為の設計の知恵は惜しみなく出していきたいですよね。
だからお願い。これ以上、資材とか職人さんの手間とか、値上がりしないで~!(笑)